実録「歌謡見聞録(1)―なかにし礼特集」



  2006年7月29日、ライブハウスの老舗である渋谷クロコダイルにて、初の単独リサイタル「歌謡見聞録」の記念すべき1回目が行われました!これは半田くんの夢の第一歩であるので、立ち会わずにはいられないということで、行ってまいりました。整理番号順に整列させられ、会場時間になると、順次先頭から中へ案内されます。ライブハウスは想像以上に狭く、かなり人口密度が高かったです。空調がきいてたので、全く暑くありませんでしたが。客全員がライブハウスに案内され、ワンオーダー制のドリンク(500円)を受け取って落ち着くまで、時間がかかったため、リサイタルは開演予定時間よりも遅れて始まりました。次公演以降、何らかの改善を期待したいです。

  準備が整って開演となると、半田くんが颯爽とステージ上に登場しました。半田くんは、某御三家を髣髴とさせる髪型に、細身のブルージーンズ、そして、縦フリルつきの長袖白ブラウス(フィギュアスケートの選手のコスチュームでよくみかけるようなやつ)といういでたち。この縦フリルが恐ろしいほどに似合ってました。そう、それは正に王子のごとく。「これ、普段着なんだよね」と言われても、「へ〜そうなんだ」と疑問を抱く余地がないほどです。

  まず半田くんからの前説(笑)とメンバー紹介があり、リサイタル本番へと続きます。前説の内容は、今回のリサイタル開催までたどり着けたことの感謝や喜びを語ってたように思います(すでに記憶があやふやですみません)。また、今までのプライベートイベントよりも小さい会場を選んだのは、もっと気楽で(今まではホテルが会場だったので、どうしてもかしこまった雰囲気がでてしまうので)、より一体感を感じるようにしたかったからだそうです。どんどん声をかけてくださいとのこと。前述したように、ライブハウス内の人口密度は高く、半田くんは「なかなかの圧迫感ですね」と驚くとともに(笑)、"もっと多くの方に来ていただいて、自分により強い圧迫感を感じさせていただければ…"と喜び楽しんでるかのようでした。
  続いてメンバー紹介。単に名前を読み上げるだけでなく、半田くんは一言ずつコメントをつけてました。半田くんは音楽的な教育をほとんど受けてないので、譜面を書くのが苦手。だから、半田くんのアレンジを譜面におこしてもらうというサポートを、キーボード担当の方にしていただいたそうです。今日のために徹夜作業もしてもらったらしく、その感謝の念を伝えると共に、これからもよろしくお願いしますとも言ってました(笑)

  ステージ上にメンバー全員揃うと、いよいよ開始。第1回の特集は作詞家・なかにし礼先生。セットリストは以下の通りです(もしかしたら順序が違ってるかも…)。半田くんが全曲のアレンジを手がけてます。

  1.愛情物語(歌:井上順、作曲:都倉俊一)1974年
  2.私が死んだら(歌:弘田三枝子、作曲:川口真)1969年
  3.夜と朝のあいだに(歌:ピーター、作曲:村井邦彦)1969年
  4.男はみんな華になれ(歌:黛ジュン、作曲:網倉一也)1980年
  5.五月のバラ(歌:尾崎紀世彦、作曲:川口真)1977年
  6.初めての日のように(歌:沢たまき、作曲:川口真)
  7.ロダンの肖像(歌:弘田三枝子、作曲:川口真 )1970
  8.恋の三部作メドレー/恋泥棒(1969)、恋狂い(1970)、恋の奴隷(1969)(歌:奥村チヨ、作曲:鈴木邦彦)
  9.恋のフーガ(歌:ザ・ピーナッツ、作曲:すぎやまこういち)1967年

  基本的には、半田くんが曲紹介とこだわり、薀蓄(笑)といったミニトークをしてから歌に入るというパターンでした。ちなみに、僕は「夜と朝のあいだに」、「恋の奴隷」、「恋のフーガ」しか知りませんでした(笑)「愛情物語」は曲名はきいたことがあるような、ないような…。というわけで、原曲を知らなければ、当然ながらどのようにアレンジされているのか分からないんですけど(聞かせ甲斐のない客でごめんよ、半田くん)、それでも十分に楽しめました。個人的には、男性曲よりも女性曲の方が好きでした。特に「初めての日のように」。これは僕の直感なんですけど、半田くんには女性曲が似合いそうです。半田くんの口から発せられる「私」といった女性言葉、なんだかいいんですよ。そして、改めて半田くんの声は非常に伸びやかで甘く、魅力的だと感じました。
  歌以外においても、トークはやはり上手くて、臨機応変な対応力がありました(ちょっと硬さのある客席をリラックスさせようとするあたりとか上手かったです)。もちろんマニアトークは健在。たまに含まれる毒が大好きです(笑)ただ、半田くんは喋りだすと止まらないので、常にマキが入り、トークは時間との勝負になってました(笑)

1.愛情物語(歌:井上順、作曲:都倉俊一)1974年

  "数字的には小ヒット"という毒が半田くんの口から飛び出したことが印象深い(笑)"アパート"を"アパルトメント"と表記するのは、なかにし先生の特色だそうです。あまり聴いたことのない言葉だったせいなのか、"アパルトメント"という言葉が耳に残ったんですが、それが目的なんでしょうか?
  今回、気に入った曲の一つです。記憶力が悪いため具体的に覚えてませんが、確か決め台詞的なフレーズがあり、それがとても印象的でした。以後のナンバーでもそうでしたが、強烈な決め台詞が必ず盛り込まれてるような気がしましたが、なかにし礼先生の特徴なんですか?半田くんの勢いに圧倒されて、口をポカーンとあけたまま聴いてました(笑)

2.私が死んだら(歌:弘田三枝子、作曲:川口真)1969年

  タイトルはショッキングなのだけど、メロディにのせるとそうでもない歌だと説明されてました。嫌いじゃなかったし、半田くんにあってたと思うんですけど、これ以上は思い出せないなあ。すみません。

3.夜と朝のあいだに(歌:ピーター、作曲:村井邦彦)1969年

  前2曲が比較的原曲のままだったに対して(と半田くんが言っておりました。確かに、昭和の匂いが濃かったです)、都倉俊一先生風にアレンジされて、曲調が原曲とはかなりガラッと代わってました。イントロからしてピンクレディーが登場しそうな雰囲気で、楽しかったです。
  また、間奏にフランス映画の有名なフレーズをはめこむという、遊び心のあるアレンジがほどこされていました。……が、原曲を聴いたことはあっても、あまり覚えてなかったので、どこにはめ込まれていたのか、わからないまま終了してしまった…。無知な自分が悔しい。

4.男はみんな華になれ(歌:黛ジュン、作曲:網倉一也)1980年

  エスニックな感じにアレンジ。黛ジュンさんといえば、"天使の誘惑"や"恋のハレルヤ"なんだけど、そういう固定イメージを覆し、観客の興味心を刺激したいという狙いでの選曲だそうです。……が、しっか〜し!黛ジュンさんに対して固定イメージがあるという前提の話であって、黛ジュンさんをよく知らない僕には当てはまらないぜ(笑)あの説明に頷けた人は、あの中にどれほどいたんだろうか?万人の共通認識のように語られる黛ジュンに関するトーク、面白かったです。淡々とした暴走機関車を見ているようで(笑)ちなみに、この曲は、黛ジュンさんがレコード会社を移籍してから1発目の曲だそうですよ(笑)
  とはいっても、半田くんの狙いを解さない僕ですが、情熱的な歌で気に入りました。サビの箇所とか、耳に残ってます。言葉にインパクトがありますよね。半田くんに似合ってたと思います。

5.五月のバラ(歌:尾崎紀世彦、作曲:川口真)1977年

  今回は塚田三喜夫さんバージョンではなく、尾崎紀世彦さんバージョン。詩的には哀しいんですけど、それを感じさせないどころか、むしろ暑苦しさすら感じさせる曲だそうです(笑)

6.初めての日のように(歌:沢たまき、作曲:川口真)

  唯一、半田くんが座って歌い上げた曲。歌詞は御茶ノ水を舞台にしたもの。半田くんはこの歌詞を読むと、情景がありありと思い浮かび、あたかも自分がその登場人物のように感じてしまうらしく、例えば冒頭は大学生活にふれたフレーズで、半田くんは大学進学してないのに、その世界に浸ってしまうそうです。これがね、良かったんですよ。僕的には今回のNo.1でした。歌い終わったときの顔の角度とかね。何もかもが計算だったんだろうか?
  上京したてで、まだ不慣れで心が揺らいでいた時によく聴いていた曲といって紹介されたのは、これだったかなあ…。違うかもしれません。

7.ロダンの肖像(歌:弘田三枝子、作曲:川口真 )1970

  今回の演目には、この曲を含めて川口真先生作曲の作品が4つもあり、なかにし礼先生と川口真先生の相性のよさが伺えます、と言ってました。ウェスタンな感じにアレンジして、ダサカッコイイを狙ってみたそうです。とてものりがよく、ポップな感じに仕上がってました。僕は好きでした。
  ロダンとは誰の作品だったけ?ミケランジェロ?とベース担当の方と悩んでたそうです。これ以上、話すとバカがばれるので…と自分で切り出したトークを自身で強制終了させてました(笑)ロダンは作品ではなく、芸術家ですよね?そもそも、その疑問の出発点からして間違ってるわけで(笑)半田くんは基本的には物知りなんですけど、たま〜にこういうことをしでかす(笑)そういうところが面白かったりします。
  実は「初めての日のように」の前に歌う予定だったのにスキップしてしまったらしく、「初めての日のように」を歌い終わって、次のナンバーを紹介する時に初めて、「あっ、僕、1曲とばしてたんですね!」と言って、そのことに気がついてました。バンドメンバーを見回して、譜面の順番が違うから驚いたでしょといってました。何人かの方がニヤニヤして頷いてましたね(笑)面白かったんですけど、字面だけでうまく表現できないのがもどかしい。

8.恋の三部作メドレー/恋泥棒(1969)、恋狂い(1970)、恋の奴隷(1969)(歌:奥村チヨ、作曲:鈴木邦彦)

  奥村チヨさんメドレー。曲を組み合わせたというよりも、歌詞を組み合わせて一曲にリフォームしたような印象を受けました。だから、僕としてはメドレーというよりも、一つの曲を聴いた感じ。「恋の奴隷」の歌詞が出てきたときは、「ここは知ってる!」と嬉しくて、一緒に口ずさんでしまいました。半田くんの歌う「恋の奴隷」がお気に入りです。
  「恋の奴隷」はドMだと評してました(笑)「♪好きなように私をかえて」に対して「えっ、変えちゃっていいの?」、「♪悪い時はどうぞぶってね」に対しては「今ならDV法に間違いなくひっかかります」などと、歌詞に淡々と突っ込みを入れてました(笑)
  半田くんが、三部作の曲を「コイドロ、コイグル、コイドレ」といった具合に略称を使用して、まるで早口言葉のように言ってたのですが、この略称は一般的に使用されているものなのか、それとも半田ボキャブラリーなのか、全く判別できませんでした。だって、半田くんがあたかも常識のようにスラッと言うもんだから(笑)

9.恋のフーガ(歌:ザ・ピーナッツ、作曲:すぎやまこういち)1967年

  半田くんも言ってましたが、今回のナンバーのなかで最も認知度が高い曲。原曲よりもアップテンポになっていて勢いがありました。全部とまではいかなくても、部分的に一緒に歌えたというのもあったと思いますが、良いというよりも楽しい曲でした。最後ということもあってか、最も盛り上がりました。
  客席から"けんとぉ!"という合いの手が入るようになりました。最初、半田くんは驚いてましたね(笑)そういえば、この曲の話ではないんですが、曲が終わると拍手がおくられるんですけど(とってもリサイタル!)、ヒューヒューという声が加えられることもありました。半田くんは、それがとても気に入ったらしく、「なんだかあれで、いいですね!」と喜んでました。
  半田くんの説明によると、まさか「恋のフーガ」がなかにし先生の作品とは思わなかったでしょ?という意外性が選曲理由の一つのようです。が、しっか〜し!そもそもなかにし先生の傾向を知らないので、「恋のフーガの作詞がなかにし礼」のどこが意外なのか分からない!(笑)マニア超特急、快調です(笑)

  全曲が終了してバンドメンバーがはけ、ステージ上には半田くんがひとりとなりました。が、「最後まで(ステージ上に)残ったものの、はけ方を考えてませんでした」と困ってました(笑)今日、聴きにきてくれたことへの感謝を、そして次回公演への意気込みを述べていました。もちろん、お誘いも忘れてませんでした(この誘い方が面白かったんですけどねぇ。残念ながら、細かくは忘れてしまいました)。これで〆となると思いきや、アンコールがかかりました。ところが、場所や時間の問題で不可能だったので、半田くんが「マネージャーの(困った)顔を見てください!」とかなんとかいって、なだめようとしても止まぬアンコール。そんなとき客席から「投げキッスして」というリクエストがとんだので、「投げキッスならばいくらでもします!」といって、四方八方へと投げキッスの乱舞(笑)瞬く間にアンコールは沈静!その効果たるや、驚異的でした(笑)この投げキッスの乱舞の勢いで、半田くんはステージをはけていきました。

  以上でリサイタルは終了しました。感想をひとことで表現すると"もっと聴きたい!"ですね。リサイタルの時間は約75分。楽しい時間はなんとやらというやつで、本当にあっという間に終わってしまいました。もっと歌が聴きたい、トークを聞きたい!楽しかったからこそ感じる"飢え"といいましょうか、リサイタル終了後、「食いたりねぇ。こりゃあ、次もこねーとな」と、次公演への参加意欲をかきたてられるようでした。半田くん、お疲れ!次回はどのようなリサイタルなのか、楽しみにしています!
  誤字脱字、誤っていることを発見したら、掲示板までお知らせください。放置しておくと恥かしいので。では、お粗末さまでした。(06.07.30up)



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