実録「歌謡見聞録(2)―馬飼野俊一&康二特集」



  2回目となった"歌謡見聞録"。今回の特集は馬飼野俊一&康二さん。感想を一言で表すと、"エネルギッシュ"。なかにし礼編は落ち着いた大人びた雰囲気が色濃かった(ムーディーと表現してもいいのかな)と思うんですけど、今回は勢いのある情熱的なナンバーが並んでいました。これが俊一&康二さんの作風なのかもしれません。

  前回と比べたら、入場案内、撮影機器の持込チェック、やドリンクの受け渡しといった手際が改善されてましたが、やはり10分ほどおして開演となりました。会場内や入り口には、松本明子さん、「正しい恋愛のススメ」のプロデューサー大川博史さん、以前に出演したくりぃむしちゅーさんの番組、そして半田くんのファンから届けられたお花が飾られてました。今回は前回よりも入場者が多く、そのためか最前列のテーブル席がなくなりました。

  マネージャーさんからの開演中の注意が終わると、いよいよ開演となって半田くんが登場。半田くんの髪型はキャラ&メルの伊音に前髪をつくった感じ、もしくは「Handaful Life」の表紙をめくった裏の髪型に近いといった方が分かりやすいかな?茶色のズボンに、レトロな茶系の柄をあしらったシルクのブラウス(妙に肌触りが良さそうに見えました)。半田くんが登場すると会場全体で"細い…"と息を呑むのが恒例行事なんですけど、髪型のせいなのか、それともブラウスのせいなのか、今回はより一層に細く、そして薄くみえました。しばらくその細さに見慣れるまでに時間がかかるほど(笑)この細身な体でよくもこれだけの力強い声が出せるものだと感心しました。また、曲調を意識してか、目力がすごかったですね。射抜く感じといいましょうか。良い意味で攻撃的な視線でした。更に、余裕の表れなのかステージアクションも見られました(前回は、あまり動きがなかったんですよね)。体全体で表現する姿は絵になり、バシッと決まった瞬間は最高にカッコイイです。声は伸びやかで素直、それでいて力強く。

  今回は、半田くんの前説なしで、いきなり勢いのある2曲からスタートとなりました。前回のように1曲ごとに説明して演奏ということではなく、2曲連続で歌ったり、説明は演奏後に回したりと、構成にやや手が加えられてました。前回よりも流れがスムーズになり、良かったんじゃないでしょうか?前回以上に盛り上がったように感じました。トークは前回と同様に時間との勝負で(笑)、やや抑え目になっていました。
  セットリストは以下の通りです。すべての編曲を半田くんが担当。

  1.君が美しすぎて(歌・野口五郎、詞・千家和也、曲・馬飼野俊一)1973年
  2.ぬれた瞳(歌・野口五郎、曲・馬飼野俊一)1973年
  3.春風のいたずら(歌・山口百恵、詞・千家和也、曲・都倉俊一・、編曲・馬飼野俊一)1974年〜夏のせいかしら(歌・夏木マリ、詩・安井かずみ、曲・馬飼野康二)1974年
  4.愛のメモリー(歌・松崎しげる、詞・たかたかし、曲・馬飼野康二)1977年
  5.幼い子供のように(歌・坂本スミ子、詩・千家和也、曲・馬飼野康二)1971年
  6.ブルースカイブルー(歌・西城秀樹、詞・阿久悠、曲・馬飼野康二)1978年
  7.西城秀樹メドレー/ちぎれた愛(詞・安井かずみ)1973年〜激しい恋(詞・安井かずみ)1974年〜炎(詞・阿久悠)1978年〜傷だらけのローラ(詩・さいとう十三)1974年
  8.愛されるより愛したい(歌・KinKi Kids、詞・森浩美、曲・馬飼野康二)1997年

  半田くん曰く、西城秀樹さんの楽曲は馬飼野康二さんの宝庫だそうで、西城秀樹さんからの選曲が目立ちました。その西城秀樹さん然り、前回よりも男性曲が多く、新御三家からKinKi Kidsまで新旧アイドルナンバーが揃いました。僕が知っていたのは、「愛のメモリー」、「激しい恋」、「傷だらけのローラ」、「愛される愛したい」の4曲。何よりも驚いたのは、Kinki Kidsの「愛されるより愛したい」。これまでで最も新しい曲というのが、1980年の「男はみんな華になれ」だったので、まさか1990年代の楽曲がセレクトされるとは思ってもいませんでした。初めて最初から最後まで口ずさめる曲でした(笑)僕が気に入ったのは、「君が美しすぎて」、「ぬれた瞳」、「スカイブルースカイ」、「愛のメモリー」。夏木マリさんの「夏のせいかしら」も◎でした。
  半田くんが曲間のMCで構成について迷ってると話していました。もっと世間的に知られている曲を選んだ方がいいのか、それともマイナーでもいいから紹介したい曲を選んだ方がいいのか。2回参加した限りでは、「恋のフーガ」といい、最後は有名な曲で〆ようとしたり、苦心しているようです。半田くんが客席に「このままでいいですか?」と尋ねると、客席から拍手が起きたので、ちょっと安心したような表情をしていました。バランスをとるのが難しいですよね。"認知度"という基準のみで選曲すると、隠れた名曲を披露することができなくなりますし、半田くんのマニアックな選曲というのも魅力の一つなわけで。だからといって、誰も知らない曲ばかりというのも独りよがりになりかねない。僕としては、認知度の高い作品を2曲、歌謡曲世代なら知っている作品を2曲、あとは半田くんのフリーセレクトといった感じが良いのではと思います。

1.君が美しすぎて(歌・野口五郎、詞・千家和也、曲・馬飼野俊一)1973年
2.ぬれた瞳(歌・野口五郎、曲・馬飼野俊一)1973年

  前説なしで、勢いのあるナンバーを2曲連続で熱唱。両曲とも野口五郎さんの歌で、「君が美しすぎて」のB面が「ぬれた瞳」だそうです。半田くんに野口五郎さんがよくあうんじゃないかと思ってたんですが、その予想通りでピッタリでした。
  馬飼野俊一さんに関しては、今回の選曲に当たってピタッとくるものがなかったので、この2曲に凝縮したそうです。誤解されないようにということで、馬飼野俊一さんは作曲家というより編曲家であること、そして半田くん自身、編曲に関して大きく影響を受けたと説明を続けてました。

3.春風のいたずら(歌・山口百恵、詞・千家和也、曲・都倉俊一・、編曲・馬飼野俊一)1974年〜夏のせいかしら(歌・夏木マリ、詩・安井かずみ、曲・馬飼野康二)1974年

  馬飼野康二作曲の「夏のせいかしら」の導入に、馬飼野俊一編曲「春風のいたずら」のフレーズをもってきて、兄弟リレーを完成させた面白いナンバー。半田くんのことだから、兄弟リレーだけでなく、春から夏へと移り変わるのも計算のうちなんでしょうね。このようなアイデアが思いつくのが単純にすごいと思うわけです。
  「なつのせいかしら」はラテン風にアレンジ、更にテンポアップされてました。歌声は情熱的で、それでいて艶やかで。女性曲がはまります。
  激しい曲だったので、ステージアクションもそれにあわせて当然ながら激しくなるんですけど、途中で半田くんが"ああああ!!"って顔をして床を指差したんです。歌詞の内容とは全く無関係のふりだし、もちろん表情も相応しくない(笑)一体何事かと思っていたら、スコアブックが落ちてしまったと演奏後に説明がありました。そのスコアブックの表紙には、アンパンマンのでかいシールが貼られてました。アンパンマンがマイブームで、ポケットにアンパンマンのキーホルダーが入ってました(笑)「スタジオパークからこんにちは」のあとで関係者と話していたとき、側にあった本棚からアンパンマンのセル画がはみ出てるのを発見。つい「ああああああ!!アンパンマンや!!!」と大きな声で叫んでしまったそうです(笑)結局、そのセル画はもらえたらしく、とても嬉しそうでした。
  この曲の後に、バンドメンバーを紹介。ドラマーの方はエグザイルのバックバンドもされているそうで、「エグザイルと歌謡曲がここでつながるなんて凄くないですか?(嬉しくないですか?だったかな)」と客席に同意を求めてました。が、どことなく同意は得られてない雰囲気が漂ってたような…(笑)

4.愛のメモリー(歌・松崎しげる、詞・たかたかし、曲・馬飼野康二)1977年

  ボサノバ風にアレンジ。ステージアクションと甘く切なげな歌声で、愛にあふれた"美しい人生"を表現してました。サビの畳み掛けは圧巻で、高音域がしっかりとでてました。本家・松崎しげるさんのような、年輪を感じさせる朗々とした歌い上げではなく、若々しく清らかな"愛のメモリー"でした。僕は、気に入ってます。
  ホーンセクションの方がフルートも吹けると聞きつけた半田くんは、この曲中にフルートのソロパートを用意!しかし、その方は吹けるだけであって、フルート自体は持ってなかったそうで(笑)、この曲のために購入したそうです。半田くんは申し訳ないことをしたと言ってました。

5.幼い子供のように(歌・坂本スミ子、詩・千家和也、曲・馬飼野康二)1971年

  実は、「愛のメモリー」と「ブルースカイブルー」に挟まれて、すっぽり記憶が抜けてしまってるんですよ…。"扉"とか"涙"とか言葉は断片的に覚えていて、決して気に入らなかったわけじゃないはずなんです。うーん、申し訳ありません。これ以上は思い出せない。

6.ブルースカイブルー(歌・西城秀樹、詞・阿久悠、曲・馬飼野康二)1978年

  原曲はスケールの大きなメロディーラインだそうなんですが、今回はピアノとギターのみのアコースティックバージョン。半田くんは、伸びやかで素直な歌声で歌い上げました。内容的には過ぎ去った恋人との日々を追憶し、悲しみをふっきるように別れを受け入れるというものなわけですが(阿久悠さんの詞が美しい)、美しい言葉と切ないメロディが合わさり、聴いてるうちにとても切なくなり、そしてノスタルジーに浸ってしまいました。
  この曲の紹介の時、半田くんが「ええええ!!もうこの曲??」と驚きの声を上げていました。半田くんがいかにのってたかが分かる一言でした。

7.西城秀樹メドレー/ちぎれた愛(詞・安井かずみ)1973年〜激しい恋(詞・安井かずみ)1974年〜炎(詞・阿久悠)1978年〜傷だらけのローラ(詩・さいとう十三)1974年

  もしかしたら、もう一曲ぐらい含まれてたかもしれません。というのも、半田くんのメドレーは、奥村チヨさんの「恋メドレー」でもそうだったんですけど、曲と曲のつなぎ目が分かりにくくて、まるで一つの楽曲のように仕立ててあるんです。今回も「♪やめろと言われても〜」と「♪ローラ〜」という、あまりにも有名なフレーズが散りばめられていたから、「激しい恋」と「傷だらけのローラ」が分かっただけであって、もしかしたら他の曲もミックスされてたかもしれません。そう、半田くんの場合は、メドレーというよりもミックスといった方がしっくりきます。
  半田くんは西城秀樹のナンバーもなかなか似合ってました。それは、彼がレトロさと若さを兼ね備えてるからなのかもしれません。「♪やめろと言われても〜」のところで、客席から「ヒデキ〜!!」よろしく「ケント〜!!」の合いの手が挟まれました。客席のレベルアップを実感(笑)

8.愛されるより愛したい(歌・KinKi Kids、詞・森浩美、曲・馬飼野康二)1997年

  恒例の都倉俊一風アレンジで、かつ新旧ジャニーズアイドルの共演ということでフォーリーブスが歌うとこんな感じという、とても面白いナンバーでした。初めて一緒に口ずさめるほど原曲を知っていたので、編曲の楽しさがほんの少しだけ分かりました。これまた圧倒されて、途中で口ずさむのを忘れて聞き入ってしまいました。ただ、どういうところがフォーリーブース風なのかは分かりませんでした(笑)だって、フォーリーブースをじっくり聞いたことないですから(笑)それはさておき、かなり盛り上がったように思います。最後は、よくライブでみかける、演奏にあわせた大ジャンプで〆ました(えっ?意味が分からない?すみません、上手く説明できないんです)。
  馬飼野康二さんは、昭和40年代のころからずっと活躍しており、今でもオリコンにくいこんでくるのでスゴイと語ってました。この「オリコンにくいこんでる」をリサイタル中に何度も口にしてました(笑)お気に入りフレーズだったのでしょうか?馬飼野康二さんは、ジャニーズに曲を提供しているらしく、最近では関ジャニ∞の「大阪レイニーブルース」。他にも嵐のデビュー当時の楽曲(例えば「A.R.A.S.H.I」)もそうで、半田くんは「えへっ、あの馬飼野康二がラップかよ!(笑)」とツッコミをいれたらしいです(リサイタルの中で、最も嬉々としてた瞬間でした)。明らかにツッコミポイントが常人とは違うわけで、「そこを突っ込むのかよ!」とツッコミ返しされるのが目に見えてます。
  また、この曲で終わりですと発表があるやいなや、客席から「えーーー!!」という悲鳴が。その声をたしなめるように、2時間ぐらいになると「最後の方、お尻痛かったね」とか「知らない曲ばかりだったね」という感想になるから(笑)、これぐらいが丁度いいんですと説明してました。また、いつかオールナイトをしたいですね!とのこと。マネージャーさんに向かって、スケジュール調整お願いしますとも言ってました(笑)

  最後はやはり時間の問題でアンコールはなし。その代わりに"投げキッスの四方八方乱れ打ち"が恒例となりました(笑)4度ほど投げキッスをして、ステージ上に鎮座していたハム太郎のぬいぐるみをしっかりと抱いて、ステージをはけていきました。
     以上でリサイタルは終了しました。今回の公演で、作詞家や作曲家の作風というもの、編曲の面白さ、"歌謡見聞録"の楽しみ方、そして、なぜジャニーズの曲には耳に残る作品が多いのか、そのカラクリが分かったような気がしました。ステージが磨かれていくのが実感できた今回。果たして次回はどんな出会いを演出してくれるのか、楽しみです。
  誤字脱字、誤っていることを発見したら、掲示板までお知らせください。放置しておくと恥かしいので。では、お粗末さまでした。(06.08.30up)



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