実録「歌謡見聞録(4)―阿久悠特集」



  ついに後半戦へと突入の「歌謡見聞録」。今回は阿久悠特集。一言で感想を表すのなら「カラフル」。カラフルといっても華やかとかそういう物理的な意味ではなく、半田くんの表情や歌い方がナンバーによってクルクルと移り変わっていく様を指していて、表現力に磨きがかかったようです。また、ギターやピアノでの弾き語りなど意欲的でチャレンジングなリサイタルであったともいえるでしょう。今までのなかで最も充実感を覚えました。

  今回から開演時間が30分早まりました。そのおかげで、リサイタルの時間が10分ほど長くなり、曲数も若干増え、トークに割かれる時間も増えたように思います。ただ、危惧したとおり30分早まったことに気がつかず、遅れて入場してくる方が多かったです。

  例のごとく、マネージャーさんから開演中の注意があってから、半田くんが登場。半田くんは、第一回のときのフリル付きブラウス、第三回のときのゴムベルト付きジーンズ、そしてスパイダーズばりのジャケットといういでたち(あのジャケットは自前?どこで見つけてくるんだろう・・・)。どこの貴族様のお出ましですか?といった具合。更にヘアースタイルは「暴風雨にさらされたマッシュルームカット」、もしくは「攻撃的なマッシュルームカット」。その髪型のせいなのか、客席から笑い声がもれてました(笑)まさかここまでストレートに昭和を表現してくるとは思いませんでしたから。でも、似合ってましたよ。沢田研二さんのナンバーがあったので、そのあたりを意識したのかと思いました。
  僕は、半田くんが登場するとパブロフの犬よろしく"細い"とつぶやくことになってるんですが、今回は"やつれたなあ"というイレギュラーな反応。最近、発熱して舞台稽古を休んだというだけあってか、目元に疲れがでて病み上がりな風貌で、最後まで体力がもつんだろうか?と心配になりました……が、完全なる杞憂でした(笑)疲れた風に見える割には妙にハイで、大木ひびき・こだま、森進一さん、和田アキ子さんのモノマネをゲリラ的に披露し、客席を翻弄しました(笑)その一方で、天然なボケがポロポロ。天然とはちょっと違いますが、トーク中にお腹がグルルルル〜っとなってしまい、「お腹が空いちゃって…」と言つつ、お腹をさすりながら照れてました(笑)
  今回は曲への入れ込みようの激しさと大きなステージアクションが特徴的でした。またギターやピアノの弾き語りにも挑戦。トークは、全体的に阿久悠さんがいかに素晴らしい作詞家であるかといった内容で、眼前には半田健人という名の阿久信者がいました(笑)でも、半田くんのトークと歌のおかげで、阿久悠さんに興味を持ち始めてしまった僕がいます。

  □セットリスト□
  01.真夏のあらし(歌・西郷輝彦、詩・阿久悠、曲・川口真)1970年
  02.街の灯り(歌・堺正章、詩・阿久悠、曲・浜圭介、編・森岡賢一郎)1973年
  03.ざんげの値打ちもない(歌・北原ミレイ、詩・阿久悠、曲・村井邦彦、編・馬飼野俊一)1970年
  04.幸福泥棒(歌・井上順、詩・阿久悠、曲・都倉俊一)1972年
  05.時の過ぎゆくままに(歌・沢田研二、詩・阿久悠、曲・大野克夫)1975年
  06.東京物語(歌・森進一、詩・阿久悠、曲・川口真、編・馬飼野康二)1977年
  07.ブルースカイブルー(歌・西城秀樹、詩・阿久悠、曲・馬飼野康二)1978年
  08.目覚めた時には晴れていた(歌・ビリーバンバン、詩・阿久悠、曲・坂田晃一)1976年
  09.青春時代(歌・森田公一とトップギャラン、詩・阿久悠、曲・森田公一)1976年
  10.あの鐘を鳴らすのはあなた(歌・和田アキ子、詩・阿久悠、曲・森田公一)1972年
  11.学生街の四季(歌・岩崎宏美、詩・阿久悠、曲・川口真)1977年

  セットリストは以上の通りです。編曲は全て半田くんが担当。8曲目「目覚めた時には晴れていた」はギターの、11曲目「学生街の四季」は電子ピアノの弾き語り。いつもならメドレーが組み込まれてたんですが、作詞家を特集する際には、歌詞の一部を切り取りつなげると、その歌詞の良さを伝えられないんじゃないかと考えて、メドレーはなくしたそうです。なるほど。
  音楽素人な僕が言うのもなんですが、名曲揃いだと感じました。それぞれの曲が各々にキラキラと輝き、その存在を主張していました。恐るべし阿久悠。とにかく詩が美しいですね。その描かれている情景が脳裏に思い浮かんでくるようでした。そして、ここまでリサイタルに4回参加して、川口真さんの名を聞く頻度が非常に多いです。どんな方なのか、ちょっと興味がわいてきました。
  僕が知っていたのは、「街の灯り」「ざんげの値打ちもない」「時の過ぎゆくままに」「ブルースカイブルー」「青春時代」「あの鐘を鳴らすのはあなた」の6曲。ということは、過去3回と比べると、リアル歌謡曲世代にとっては馴染み深い曲が名を連ねたということでしょうか?
  今回は、第一回と同様に、基本的に曲の紹介と演奏がワンセットになったスタイルで、トーク部分も増量。しかしながら、ライブ感というか、流れは損なわれることなかったように感じました。半田くんの腕が上がってる証拠でしょう。
  実は、今回は当日の朝にあわしただけだったそうで、それなのに、これだけできるバンドメンバーは素晴らしいと絶賛し、一番不安定なのは自分のボーカルじゃないかと言ってました。舞台稽古による拘束時間が非常に長いらしく、更に稽古が休みの時は「シネマの扉」収録だったりと、リハーサルのためにまとまった時間が確保できなかったそうです。

01.真夏のあらし(歌・西郷輝彦、詩・阿久悠、曲・川口真)1970年

  半田くんがステージ上に登場して、トークなしでスタート。この後に、CDデビューの報告があったので、この曲自体の説明はあまりなかったような…。僕の印象としては「情熱的」。体を横に構えて顔だけ客席に向け、「好きだ」と歌ってる姿にインパクトがありました。ただ、先述したとおりに目元にやや疲れが見えて、第二回で見せたほどの眼力が発揮できてなかったのが残念。

  第一曲目後、半田くんの口からCDデビューについての発表がありました。ファイズの頃にCDデビューの話をいただいたものの、今はそのときと違うと思い断ったことがあるけど(キャラクターソングのことかな?)、あれから数年たち、今の時期に出せるのがベストだと思っているとのこと。B面は半田健人作詞・作曲・編曲。発売元の会社テイチクさんからベタベタのデュエット曲という注文があったそうで、半田くんは本当にその通りにしてしまうので「本当にベタベタでいいんですね?」と念押し(笑)出来上がったものは、バックに男性5人のコーラスがついてしまいそうなほどベタベタらしいです(素朴な疑問ですが、なぜ5人なんでしょう?)。発売日(12月20日)を11月20日と間違えてしまい、客席から指摘されて訂正してました(笑)

02.街の灯り(歌・堺正章、詩・阿久悠、曲・浜圭介、編・森岡賢一郎)1973年

  原曲のままだったような気がします。とにかくアンニュイでした。今回はステージアクションが大きい上に独特なんですよ。それが70年代当時のものなのか、僕には判別つきません。この曲では、右手で赤ちゃんを抱き、左手でその赤ちゃんをなでてる様なフリがあったんです。あれは一体?
  半田くんの中で、五本の指にギリギリ入るぐらいに好きな曲だそうです(ギリギリ入るぐらいという表現はどうなのだろう(笑))。流行る歌をつくるには時勢に沿ったものを取り上げて作詞すればいいんだけど、阿久悠さんは、その逆で"ない"ものを取り上げるそうです。だから、「街の灯り」中の"灯りチラチラ"も、今のような明かりだらけの街並みを見越してことなのかなあと話してました。

03.ざんげの値打ちもない(歌・北原ミレイ、詩・阿久悠、曲・村井邦彦、編・馬飼野俊一)1970年

  プログレ風、もっと言うならばクニ河内風にアレンジ。インパクトでは一番でした。半田くんの曲への入れ込みようが凄く、暗く虚ろな眼差しで切々と女の情念を歌い上げました。疲れた目もあいまってか、このまま倒れるんではないかと思ってしまうほど。最後は赤いライトで照らされるなど、演出も工夫されていて◎。 僕の目には、ここで半田くんに何かスイッチが入ったように映りました。
  歌い終わった直後、鬼気迫る→いつものクールな表情へと一変し、「いい演出ができたんじゃないでしょうか?」と一言(笑)今では歌謡曲と認識してるけど、初めて聴いた小学生6年生の頃、演歌としか思わなかった。それだけ免疫がついたということなんだろうと語ってました。阿久悠さんの特徴として、4分割りや3部割の構成にして四季の移り変わりを表現するというのがあり、この曲もそのような構成になっているそうです。

04.幸福泥棒(歌・井上順、詩・阿久悠、曲・都倉俊一)1972年

  落ち着いた曲が続いたので…ということで「幸福泥棒」。この曲はメロディーが「渚のシンドバッド」と非常に似ていて、それを知らせたくての選曲だそうです。で、アレンジは「渚のシンドバッド」風(笑)とても面白く、且つ半田くんならではの企画。アレンジしたといっても、原曲とほとんど変わらないそうです。4年越し(幸福泥棒/1972年、渚のシンドバッド/1977年)でヒットさせるなんてスゴイとも言ってました。ちょっとした黒いジョークも吐いてたんですけど(笑)、忘れちゃいました。ここのあたりからトークものってきて、「渚のシンドバッド」にのせて井上順さんが歌うというね…と笑ってました。確かに想像すると可笑しい(笑)
  これまでに30曲以上を聴いてきましたが、最も70年代を肌で感じました。くさい表現すると、半田くんから"70年代の風"を感じたといいますか…。音にあわせて軽快に体を動かし、笑顔で歌う姿を見て、"ああ、これが70年代なんだ"と心にすっと入ってきたんですが、まさか開眼?!(笑)

05.時の過ぎゆくままに(歌・沢田研二、詩・阿久悠、曲・大野克夫)1975年

  「幸福泥棒」から引き続いて演奏されました。好きな曲だったので単純に嬉しかったのですが、特筆すべきはギラギラした目。このナンバーになった途端、目が正にギラッと輝きました。あの輝き方は初めて見たかもしれない。
  半田くんバージョンは、抽象的な表現となりますが、本家と比べると男の色気と若さゆえの真っ直ぐさや清らかさがミックスされたような印象でした。なんといいますか、歌詞中の二人の年齢設定がジュリーのときよりも若くなった感じ。僕としてはかなり気に入ってまして、また聴きたい一曲です。

06.東京物語(歌・森進一、詩・阿久悠、曲・川口真、編・馬飼野康二)1977年

  森進一さんの曲とは思えないほどポップなナンバーらしく、今回はより一層ポップにアレンジ。これがね、半田くんが本当にポップポップしてて良かったんです。意外性では今回No.1。
  一般的な森進一さんのイメージということで、半田くんが「ハァ〜〜〜」って森進一さんの定番モノマネをしてました(笑)なかなか似てましたよ。また、この曲が好きな理由として"東京"という言葉が使用されてるからというのもあるそうで、半田くんも含めた地方者はこのキーワードに弱いと語ってました(笑)

07.ブルースカイブルー(歌・西城秀樹、詩・阿久悠、曲・馬飼野康二)1978年

  以前に披露されたのと同じくアコースティックバージョンで、情感たっぷりに熱唱。グレードアップしてました。サビは勿論いいんですけど、個人的には「あの人の指にからんでた〜♪」という入り方が好きなんです。そういえば、左手を左即頭部にあてるフリが比較的多かったような気がしないでもない。
  確か、この曲の後だったと思うんですが、演奏直後に「この曲は誰が歌っても、ある程度はよく聴こえますね。なんて、ムードを壊すようなことを言うなってね」とセルフでツッコミをしてました(笑)

08.目覚めた時には晴れていた(歌・ビリーバンバン、詩・阿久悠、曲・坂田晃一)1976年

  半田くんによるギターの弾き語り。"ゆるく歌ったらこんな感じ"バージョンらしく、普段バスルームでこんな風に歌ってると思えたらと説明してました。先の「ブルースカイブルー」の熱唱と比べたら、力の抜けたサラリとした歌い方でしたが、美しいメロディラインと半田くんの優しい歌声がマッチして気に入ってしまいました。まあ、「もしもピアノが弾けたなら」を生み出した阿久悠・坂田晃一コンビなのだから、楽曲が美しくないはずがない。特にギターとクラリネットによる間奏が美しい。あの箇所はオリジナルのまま?それとも半田くんによるアレンジ?もしアレンジならば、半田くんを尊敬せねばならないかもしれません。いや、まじで。音楽素人の僕からすれば、メロディは言うまでもなく、ギターにクラリネットを組み合わせるという発想がすげーなぁと感心してしまうんです。このナンバーを聴いて、半田くんの歌うフォークソングも聴いてみたいと思いました。
  この弾き語りに使用された白いギターは、楽器屋というより小道具屋みたいなところで、ケース付き4800円で購入したそうです。というのは、そのギターが70年代当時にジャケットなどで小道具としてよく使用されていたモノと同じデザインだから(笑)買って置いておくだけというのもなんなので、今回、調律は心配だけど使おうということに。その白いギターは開演時からずっとステージ上に置かれてたんですが、この曲をいざ紹介するという時に、「こんなところにギターが!」とわざとらしく驚いてました(笑)また弾き語りの準備をしてる時、客席に対して「皆さん、自由に話して(時間を)埋めてください」と言うも、当然ながら客席は静かなままなので、何度も繰り返し言ってました(笑)
  この曲の後のタイミングだったか自信ないんですけど、半田くんが(この曲は気軽にゆるく歌ったということをうけて)「こんなんで良ければ、どこへでも行きますよ」と言って、更に「ほんまに来たんかいなあ」とガラガラ声でセルフツッコミ。客席、キョトーン(笑)僕も「これ、誰のマネだっけ?」と咄嗟にはわかりませんでした。その空気を察したのか、半田くん自らが「大木ひびき・こだま」だったことを明かしてました(笑)この漫才師は、最近ではチッチキチーで全国区になりつつありますが、関西では古くから浸透してるベテランですから、関西だと反応が違ったかもしれない。そういう意味では、ネタのチョイスミス?(笑)半田くんは、お笑いのベテランでは大木ひびき・こだまが大好きで、親に「テレビに出てんでぇ〜」と教えられると、「ほんまに?」と言いつつ、テレビの前に張り付いてしまうそうです。ちなみに、僕もこの漫才師大好き。漫才がすごく上手いです。「往生しまっせぇ」や「そんなやつはおらんやろぉ」などなど…爆笑です。半田くんもマネをしたことがあるに違いない。

09.青春時代(歌・森田公一とトップギャラン、詩・阿久悠、曲・森田公一)1976年

  気恥ずかしいまでの時代性と編成が反映された楽曲と、半田くんから紹介されました。ステージアクションが大きく、貴族ジャケットを使って独特なフリをしてたんですが、言葉では表現できません。擬音で表すと、ジャッジャって感じ(笑)全く伝わりませんよね、すみません。とにかく半田くんの爽やかさと若さ、そして勢いを感じた一曲です。このように書き連ねている今でも、軽快にリズムを体で刻む姿がフラッシュバックします。この曲だったと思うんですが、最後、音に合わせてスタンドマイクを使って決めポーズをとったんです。これまた具体的に言語化できないのが心苦しいわけですが、半田くんが「やはり最後はフォーリーブスということでね」と言ってたので、フォーリーブスがよくやっていた〆方なんだと思われます。「愛されるより愛したい」といい、半田くんはフォーリーブス好き?
  「この曲を高校生の頃、一人で歌ってた…いやいや、何人かで歌ってましたよ。共感してくれる人が何人かいたので」と、"一人"というタームに敏感に反応して訂正した半田くん(笑)この歌い手であり作曲家の森田公一さんは、ピアノの弾き語りでも、鍵盤を全く見ずにカメラを凝視して歌うそうです。おや?それは、某スタジオパークでの某半田健人さんの話では(笑)

  このタイミングでバンドメンバー紹介。遅いなあと思ってたんですけど、まさか忘れてたわけじゃないですよね?(笑)一人一人紹介する時に、名前だけでなく、一言エピソードが添えられます。ドラマー紹介のとき、ドラムセットのシンバルの音がイイという話になり、ドラムセットの後ろに銅鑼でも置こうか、そして某XJapanみたいに銅鑼を叩いて気絶するとかね、と軽快に話してました(笑)サクソフォーン(だったかな?)の方を紹介した時、「前回、何で休んだんすか〜!」と責める(笑)というのも、この方はクラリネットも担当していて、前公演時、半田くんはクラリネットパートを作ってきたのだけど、休みだと知って、当日に作り直さなければならなかったということがあったから。当日に変更できるというのがスゴイですね。

  ここで、半田くんがマネージャーさんに時間を尋ねて、「えっ、まだ(2時)35分なんですか?」と驚く。まだまだ時間に余裕があるということで、バンドメンバーにはイスに座ってもらって、半田くんも着席。自分は記憶力が非常に悪く、脚本などは一日でも早くもらって覚えていてると語りだす。が、やはりまだ35分というのが信じられない半田くんは、もう一度だけマネージャーさんに尋ねる。すると、「えっ、35分じゃなくて、3時5分?」と慌てて聞き返す!きましたよ、特大級の天然ボケが(笑)「さんじごふん」を「さんじゅうごふん」と聞き間違えたんですね(笑)それを知った半田くんは「なんで言ってくれなかったんですかぁ!」「バンドの皆さん、立ってください。巻きますよ!」と大慌て。確かに、教えてあげなかったマネージャーさんが悪い(笑)そのまま、「あの鐘を鳴らすのはあなた」の説明へとなだれ込んで行きます。そして、この慌てが新たなミスをもたらすことに…(笑)
  時間といえば、ついつい話しすぎて時間をおしてしまうので、曲間のトークのたびに半田くんは時間を確認します。ある時、半田くんが「時間、大丈夫ですか?」と周りキョロキョロ見ながら伺うも、誰も答えないスタッフ(笑)いつもはタイムキーパー役のマネージャーさんが、慌てて会場入り口から駆け寄ってきて、教えてくれるという一幕がありました。このとき、「ねぇ〜、こんな風に教えてくれないんですよ」といじめられっ子風を装って、客席にちくってました(笑)

10.あの鐘を鳴らすのはあなた(歌・和田アキ子、詩・阿久悠、曲・森田公一)1972年

  ディスコティック風アレンジが施されており、半田くんが自分らしいアレンジとコメントしてました。"らしさ"だなんて分かるはずもない僕が、なぜかアレンジも歌い方も、何もかもが半田くんらしいと感じたナンバーです。オリジナルよりも"気軽"に聞けて僕好みでした(和田アキ子さんの場合は重厚で聞き入ってしまうんですが、その分、ちょっと重たい感じがして、聴くのに時と場合を選ぶような気がするんです。好きな曲ではあるんですよ)。また、ちょっとした遊び心で、最後のサビのあたりに西城秀樹さんの「YMCA」を織り込んであるので、勇気のある方は自主的にYMCAのフリをしてくださいとのことでしたが、僕にはどこに「YMCA」のタイミングがあったのか分かりませんでした。やる気満々だったんですけどねぇ。ちなみに、最後は半田くんのジャンプで〆。この時点で、おや?と思った人がいたはず(ニヤニヤ)
  半田くんが、この曲の作詞が阿久悠さんなのは意外でしょ?と紹介してましたが、このように、どの公演でも必ず一曲は半田くん的に意外な楽曲がセレクトされてます。以前にも書いたと思いますが、ノーマルな人は普通を知らないので、その意外性を理解できないのですよ(笑)また、三度モノマネ―和田アキ子さん―を披露してました。これまた、なかなか似てました(笑)

  この曲が終わると、半田くんが「これで終わりと言うと皆さんに怒られますので…」といって「学生街の四季」へと続くんですけど……半田くん、「あの鐘を鳴らすのはあなた」を演奏する前にラスト宣言するのを忘れましたね?(笑)本来ならば、「学生街の四季」はアンコール曲として用意してたものですね?だからこそ、ラスト曲であったはずの「あの鐘を鳴らすのはあなた」の〆で大ジャンプをしたんですよね?全ては時間の聞き間違いが発覚して慌てたせいですね(笑)結果として、前回に引き続いて自主アンコールという形になってしまいました(笑)

11.学生街の四季(歌・岩崎宏美、詩・阿久悠、曲・川口真)1977年

  ピアノの弾き語り。「ざんげの値打ちもない」と同様に四季を織り込んだ歌詞で、春→夏→秋→冬と移り変わり、そして再び春に戻りグルグルと季節は巡ります。このような阿久悠さんの情景あふれる詩と半田くんの張りのある高音に聞き入ってしまいました。今回のように、ストリングス等そういうものを一切省いて、ピアノだけでとかシンプルに演奏することで、また新しさ(新鮮さだったかな)が生まれるのかもと語ってました。ちなみに、この曲はアルバムに収録されてるそうです。なんてマニアックな選曲!
  弾き語りの準備中、ギターの弾き語りの時と同じように、客席に対して自由に話して時間を埋めてくださいと無茶な注文をつけてました(笑)
  途中でマイクの入りが急に悪くなったなあと思ったら、半田くんの目が鍵盤に集中してて、顔を伏せたまま歌ってたからなのですね(笑)ピアノの弾き語りはハニカミが初挑戦で、今回が二度目なので、まだ余裕がなかったのかもしれません。しかし、ハードスケジュールの中、新しいことを試みようとする、その意欲的な姿勢に感服しました。また、その鍵盤凝視はほんの少しの間だけで、トータルで見ればとても良かったです。また是非とも聴きたい。

  以上で全ての演目終了。最後に、舞台とCDの宣伝。この際に、またCD発売日を11月20日と間違えてました(笑)客席に幾度とお辞儀しつつ、ステージを去っていく…が、途中で思い出したかのように戻ってきて、恒例の四方八方へ投げキッス(笑)そして、次こそ手を振りながらステージをはけていきました。これにてリサイタル終了。

そのほかの阿久悠語り
  阿久悠さんは5000以上の作品を誇り、捨て曲は一切ないという自負があるそうです。半田くん曰く、売れない曲には作品そのものにそれなりの原因があるのだけど、阿久悠作品の場合はそれとは違って、外的な原因によるとのこと。例えば、ちあきなおみさんは「喝采」で大ヒット。それを越えるヒットを狙って「ワルツ」をつくるも、ちあきなおみさんが体調を崩して、十分なプロモーション活動ができなかった。
  今から4年前、半田くんが地方の仕事へ行く途中で読む本を本屋で探していた。半田くんのお目当ては都倉俊一関連の書物。しかし見当たらずに断念。その代わりに、目についた阿久悠さんの書物を購入。それまでは、阿久悠さんの作品自体はほとんど全て知っていたけども、阿久悠さん自体にはそれほど興味はなかった。しかしその本を読んで以来、阿久信者と化し、関連書物を全て読み漁ってしまったとのこと。

  以上で全てです。冒頭は半田くんが病み上がりのように見えて心配になりましたが、そんな不安を完璧に払拭するパフォーマンスを披露して、充実した時間を提供してくれました。また、ピアノやギターの弾き語りに挑戦するといった、その新たな試みに積極的に取り組んでいく姿勢から、次は一体どんなことをしてくれるだろう?という期待を抱かずにはいられませんでした。半田くんの表現力と阿久悠さんの美しい詩に魅了された今回。僕の心の奥底で作詞家・作曲家への興味がモクモクと生まれつつあるのを感じます。ああ、着実に進行する半田チルドレン化。次回は、どのようなステージで魅了してくれるのか、そして、半田チルドレン化を進めてくれるのか、楽しみです。
  誤字脱字、誤っていることを発見したら、掲示板までお知らせください。放置しておくと恥かしいので。では、お粗末さまでした。(06.11.04up)



戻る







100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!