実録「歌謡見聞録(6)―都倉俊一特集」



  7月からスタートしたマンスリーリサイタル「歌謡見聞録」もいよいよ最終公演。今回は、半田くんが崇拝する都倉俊一さんを特集。一言で表現すると"ロック&アメリカン"。ロックの部分は、ロックアレンジされた山本リンダメドレーのインパクトが強かったせいだと思います。また、都倉さんといえば山本リンダさんやピンクレディーのナンバーが有名ですが、それらとは趣が違った、都倉サウンドとしてミュージカル風なナンバーも披露されました。こちらがアメリカンの部分。都倉さんは外国で音楽を学んだということもあってか、音楽的に先の先をいってた人なのかなと感じました。

  当日券がでたこともあってか、今回が一番の入りでした。ライブハウス内が若干暑く感じるほど。ギッシリと人でつまったフロアをみて、半田くんも喜んでるようでした。また、間違いなく男性客は増加してます。チラホラのレベルではないです。歌謡曲ファンの方々がリサイタルの評判を聞きつけて、やってきてるのかなあ、と好き勝手に解釈してます(笑)

  とりあえず開演時間がおすのは恒例行事として…、マネージャーさんからの公演中の注意がありませんでした。しなくなったのですね。バンドメンバーがスタンバイすると、半田くんがステージ上に登場。黒のジャケット(僕に素材なんて分かるはずがありません)に、赤と白のブラウス。半田くん曰く「プチサンタ」(笑)パンツはお馴染みになったベルト付きジーンズ。髪型は説明できませんが、言うまでもなくレトロです(笑)また、一時のゲッソリしたやつれ具合から明らかに回復しており、眼力が復活しました。半田くんは、一曲目はじぃーっとゆっくりと客席を見渡すように歌うんですが、この時の視線が射抜くようで、眼力が凄いのです。こんな"観客確認"時でも眼力発揮!と凡人な僕は驚くわけです。
  ステージは、半田くんからメリークリスマスか何か一言あってからスタートしました。

  □セットリスト□
  1.愛情物語(歌/井上順、詩/なかにし礼、曲/都倉俊一)1974年
  2.涙(歌/井上順、詩/阿久悠、曲/都倉俊一)1972年
  3.憎いあなた(歌/小山ルミ、詩/千家和也、曲/都倉俊一)1972年
  4.あずさ2号(歌/狩人、詩/竜真知子、曲/都倉俊一)1977年
  5.ガス燈(歌/都倉俊一、詩/???、曲/都倉俊一)
  6.華麗なうわさ(歌/フィンガー5、詩/阿久悠、曲/都倉俊一)1974年
  7.山本リンダどうにもとまらないメドレー(どうにもとまらない〜じんじんさせて〜闇夜にドッキリ〜狂わせたいの〜燃えつきそう〜狙いうち)
  8.恋のアメリカンフットボール(歌/フィンガー5、詩/阿久悠、曲/都倉俊一)1974年
  9.わが町は…(歌/ペドロ&カプリシャス、詩/阿久悠、曲/都倉俊一)1974年
  10.タイトル未定(歌/半田健人、詞・曲・編/半田健人)未発表

  今回はトークが半田くんにしては(笑)極力少なめで、とにかく歌ってました。その割には曲数が少ないんじゃないか?と思われるかもしれませんが、今回の目玉の一つである「7.山本リンダメドレー」がとにかく長かったのです。時間にして少なくとも歌謡曲4曲分はあったんじゃないでしょうか?その長さから「どうにもとまらないメドレー」(by半田くん)と名づけられてるわけです。ナイスネーミング!また、今公演の特徴として「ガス燈」「華麗なうわさ」といったミュージカル風なナンバーもあげられると思います。これまでの5公演では見られなかったタイプのナンバーでした。つまり、これこそが都倉さんの作風の表れということになるんでしょう。
  以前に披露された「愛情物語」「憎いあなた」を除くと、「あずさ2号」と山本リンダメドレー内の「どうにもとまらない」「狙いうち」しか知りませんでした。ということは、なかなかにマニアックな選曲だったということになるんでしょうか?ピンクレディーや山口百恵さんのナンバーが全く選曲されてないのが驚きでした(ピンクレディーは違った形で取り入れられてますが)。

1.愛情物語(歌/井上順、詩/なかにし礼、曲/都倉俊一)1974年

  以前に披露した時はなかにし礼さんの作品として、今回は都倉俊一さんの作品として紹介。第1回の最初の曲を同じバンドメンバーで演奏することで、初心に帰るという気持ちが込められていたそうです。♪好き〜で 好き〜で♪で始まるサビが好きです。この曲は暑苦しいからこそ良いんだろうなあ。僕は半田くんバージョンを先に知ってしまったので、本家の井上順さんが歌ってる姿がどうも想像つかない。どうしても井上順さんのキャラクターが想像を邪魔するんです(笑)
  「Handa TV」で初回の「愛情物語」が少しだけ視聴できますが、この曲一つとっても、この半年間での半田くんの成長は如実です。人って、こうも短期間で変われるもんなんですね。

2.涙(歌/井上順、詩/阿久悠、曲/都倉俊一)1972年
3.憎いあなた(歌/小山ルミ、詩/千家和也、曲/都倉俊一)1972年

  二曲続けて披露されました。「涙」はまたまた井上順ナンバー。「歌謡見聞録」を通して、井上順さんの名前がよく挙がったような気がしないでもないです。選曲理由は「カッコイイから」だそうで、確かにカッコ良かったです。
  「憎いあなた」は第3回の千家和也特集でも披露された曲目。都倉初期作品で、"狙いうち"やピンクレディーへと続く都倉サウンドの息吹を感じる一品(と、千家和也特集の時に半田くんから説明がありました)。この曲のイントロを聴くと、山本リンダさんの歌が始まるのかと思ってしまうんです。似てませんか?

4.あずさ2号(歌/狩人、詩/竜真知子、曲/都倉俊一)1977年

  原曲のままだとしっとりし過ぎてしまうということで、同曲とメロディが似ているという「カルメン'77」の伴奏で披露されました。ピンクレディーの楽曲を歌うことはありませんでしたが、こういう形で組み込んできたかと感心。そのアイデアに客席からエエエ!という驚きの声があがりましたが、これが想像以上にマッチしていて良かったです。正に歌謡見聞録ならではの曲目となり、僕の中では、今回の目玉の一つとしてカウントされてます。単純に面白かったです。「あずさ2号」と「カルメン'77」が似ていると気づくだけでなく、「カルメン'77」の伴奏で「あずさ2号」を歌ってしまうのは、半田くんぐらいじゃないでしょうか?22歳という条件を追加すると、間違いなく彼一人です(笑)
  都倉さんは、自分がMCを務める番組に狩人をレギュラー出演させ、1年かけて「あずさ2号」を売りこむというプロモーション活動をしたそうです。半田くんが元祖プロデューサーと評していた…はず。

5.ガス燈(歌/都倉俊一、詩/???、曲/都倉俊一)

  都倉作品といえばピンクレディーや山本リンダさんが有名ですが、こんな一面もあるんだぞということで紹介された楽曲。「ガス燈」と書いて「ガスライト」と読みます。ミュージカル風でミディアムテンポ。それまでの5公演ではなかったノリだったように思います。聴いてるだけでリラックスできるような曲で、自然とリズムに合わせて顔を左右にゆらしてしまいました。
  都倉さん自らが歌っているというだけでもコアなのに、更にアルバム曲という超マニアックな曲。おかげで作詞家が分かりませんでいた。この曲が収録されたアルバムはなかなか手に入らないそうです。が、半田くんは最近、入手したそうです。流石!(笑)この件は、半田くんのトークの展開が面白かったんですけど、字面だけでは表現できないのが悔しい。

6.華麗なうわさ(歌/フィンガー5、詩/阿久悠、曲/都倉俊一)1974年

  「ガス燈」に引き続いて演奏されたような気がします。こちらもミュージカル風な楽曲。途中で何度も場面転換してるかのように曲調が変わる、不思議なナンバーでした。それだけで超ミニのミュージカルとして使えてしまいそうな感じ。また、阿久悠さんの詩が印象的です。
  本家フィンガー5では、妙子ちゃんがメインボーカルを担当して、晃ちゃんの変声期をうまく乗り切ったという薀蓄が披露されました(笑)これも話し方が面白かったんですよ。

7.山本リンダ どうにもとまらないメドレー(どうにもとまらない〜じんじんさせて〜闇夜にドッキリ〜狂わせたいの〜燃えつきそう〜狙いうち)

  今回の目玉であり、象徴といってもいい曲目。尺にして10分以上の長さを誇るロングメドレー。メドレーといっても一曲一曲が長くて、少なくとも「どうにもとまらない」や「狙いうち」は丸々1番は歌ってたと思います。ロックアレンジが施されていて、エレキギターをかき鳴らしながらエネルギッシュに熱唱。時にはギターを小道具のように使ってステージングするのがカッコイイ。会場大盛り上がりでしたが、僕もこのメドレー大好きです。「どうにもとまらない」とか、良いんですよ。これまでに何度も書いてきましたが、半田くんには女性の歌がよく似合うんです。
  今回のギターは、赤と白の「クィーンのブライアン・メイ」モデル。前回の青のギターにしようかと考えたけど、衣装(赤と白のブラウス)にあわせて決めたそうです。このギターは京本政樹さんから頂いたもので、京本さんのご自宅に遊びに行ったとき、「これ、いいっすね!」と言っていたら、「じゃあ、あげるよ」ということになったそうです。なんて気前の良さ!さすが幾多もの悪人を組紐で吊るしてきただけはあります。半田くんは自宅に遊びに行くほど、京本さんと仲良くなってたんですね。
  演奏前、ギターの準備をしてる時の話。捩れてしまったストラップがなかなか直らず、「きもちわるい」と一言(笑)ちょっと手間取ってたので、誰か手助けに入るのかと思っていたら放置状態。これまでも、半田くんが準備とかに手間取ったり困っていても、基本的に手助けは入らない(笑)

  ライブハウス内は満員のため暑いのですが、ステージ上はライトもあるから更に暑い。10分以上も激しく歌い続けたので、半田くんは汗をかき、「暑い!」と言っていると、スタッフから折畳まれたミニタオルの差し入れが。見え隠れする柄…もしや!!半田くんがミニタオルで顔を拭くと露になったアンパンマン!やはり!(笑)客席の「もしや!!」という気配を察したのか、柄を客席側に向けて拭いたあたりは、流石としかいいようがありません(笑)彼は、こういうところに長けてる。
  アンパンマンタオルで顔を拭きながら「このタオルを客席に投げたら、ファンサービスになるんですかね?」という爆弾発言が!客席から悲鳴が!舞うアンパンマンタオル!狙い定めて一閃、捕獲!この捕獲した方の手の速さ、尋常じゃなかったです(笑)ご機嫌な半田くんは、続いてピックが投げ込んでました。最終幕らしい一場面となりました。

8.恋のアメリカンフットボール(歌/フィンガー5、詩/阿久悠、曲/都倉俊一)1974年

  ミュージカル風でアメリカチックな原曲をロックアレンジ。雰囲気が半田くんにとてもマッチしていて、気に入ってます。爽やかで軽快なメロディにのって楽しそうに歌っている姿が印象的。
  
9.わが町は…(歌/ペドロ&カプリシャス、詩/阿久悠、曲/都倉俊一)

  ペドロ&カプリシャスといえば「五番街のマリーへ」や「ジョニィへの伝言」だけど、半田くん的には「わが町は…」。半田くんの選曲理由どおり、旅立ちをテーマとした歌で、最終公演を締めくくるのに相応しかったです。終わりは最後ではなく、次への始まり。そんな前向きなポジティブソングだったように感じました。変に湿っぽくない、明るく希望に満ちたエンディングで、こういう終わり方もいいですね。振り返ってみるに、今回はこういう気持ちの良い歌が目立ったように思います。これこそが都倉サウンドなんでしょうか?

10.タイトル未定(歌/半田健人、詞・曲・編/半田健人)未発表

  今回、最大の目玉。とりあえず「9.わが町は…」で歌謡見聞録は終わりということにして、アンコールは半田くんからのクリスマスプレゼント、オリジナル曲の披露となりました。最近、作った曲で気に入ってるそうです。ただ、まだタイトルが決まってないので募集しますと言ってました(笑)内容は別離(女性視点)だと思います。別離といっても恨み節とかネガティブなものではなく、前向きなものだった気がします…が自信ありません。「ありがとう」や「愛は後姿では語れない」といったフレーズを覚えてます。ジャンルはよく分かりませんが、こってり歌謡曲で歌い上げるタイプの曲でした。半田くん、絶唱です。入り込みようは尋常でなく圧倒的で、特に伸びやかでよく響く高音で畳み掛けるサビは圧巻。口をポカーンとあけたまま聞き入ってしまいました。おかげで、口の中が乾燥しました。キーが高くて、更に肺活量も要求される歌なので、とりあえず普通の男には難易度の高い歌。僕の中では今回一押しです。CD化されないかなあ。

  以上で、全ての曲目が終了。半田くんから半年間に亘る歌謡見聞録の〆の挨拶がありました。内容を列挙すると、
  ・支えてくれた方々やファンへの感謝の気持ち
  ・まだ諸事情があって公表できないけど、新たな企画を考案中
  ・来年は今年以上に皆さんの前で歌う機会が設けられたら…
  ・一枚でも多くのCDをリリースしたいし、オリジナルの曲を披露したい!
  といった具合で、音楽活動への情熱と真剣さが伝わってくるようでした。直近で披露したタイトル未定のオリジナル曲を感情込めて歌ったせいなのか、瞳が潤み輝いていました。挨拶が終わると、恒例の四方八方への投げキッス→ありたっけのピックを客席に投げ込み。お辞儀とお手振りをして、ステージをはけていきました。

諸々のトーク
  ■CDキャンペーンの話。  キャンペーン活動をしてると、嬉しいこと、楽しいこと、切ないことなど色々と経験するらしいです。半田くんは、宣伝カーから歌が流れてくると「煩いなあ」と思ってしまう方なので、「かっこいいブーガルー」もそう思われてるのかなあと思いながら、宣伝カーに乗車していたんだけど……、実は乗車してる方が、何度も繰り返して同じ曲を大きな音で聴く羽目になるので、煩く感じてしまうことを知ったそうです。しかも、悪いことに途中で渋滞に巻き込まれてしまったそうで、つい「一旦、止めませんか?」と提案してしまったそうです(笑)おかげで何十回も聴かされてしまったので、「新宿、泪知らず」は折角の自作曲なのに、ちょっと嫌になりつつあるという・・・(笑)教訓としては、「何事もほどほどに」「足りないぐらいが丁度いい」。正直者な半田くんらしいエピソードで、この一連のトークが面白かったです。
  ■マイクがガタン!  多分1曲目のあとだったと思うんですが、半田くんがスタンドマイクの高さを調節をしてると、ガタン!と音をたててマイクが反転。ちょっとした間のあと、「不吉だ…」と一言(笑)更に数曲後(だったかな?)、演奏の準備をしてるとマイクが再びガタンという音と共に反転。今度は客席から「不吉!」という声が。スタンドマイクをなおしていた半田くんが、それを聞いて「また不吉といいましたね?」ジロッと客席をみる(笑)二回とも、半田くんの間が面白かったです。関西人ならではのテクニックなのかも。
  ■バンド紹介  タイミングは忘れましたが、早めにしていたと思います。最後ということで、一人一人にマイクを渡して、一言喋ってもらってました。ギターのゴトウマンを紹介した時のこと。どうやらゴトウマンはお腹が痛いらしく、半田くんが「リバースしてないんですよね?なら、(ノロウィルスは)大丈夫ですよね?」と声をかけてました。ただ、ゴトウマンは牡蠣フライを食べてしまったそうで、たとえリバースしてなくても不安が残るようです。ゴトウマンが牡蠣フライを食べたと聞いた時の半田くんのリアクションを見た限りでは、もしかして半田くんは牡蠣フライが嫌いかも?本当にどうでもいいことでが、僕は流行のウィルスとか無関係で牡蠣が大嫌いです。僕の中では、人間の食物ではないと認定されてます(笑)

  報告は以上となります。7月から半年間、マンスリーで開催されてきた「歌謡見聞録」が、遂に完結しました。最終幕となった第6回は正に集大成で、僕的には全公演の中で一番でした。僕にはテクニックとか小難しいことは分かりませんが、「歌謡見聞録」を通して確実に、そして飛躍的に表現力が向上していったように感じます。回をおうごとに、その歌声や姿に魅入られることが多くなりました。また、「編曲」の素晴らしさを教えてもらいました。原曲のままだと、僕には若干遅く感じられてしまうことが度々あるのですが、半田くんによって編曲が施されると非常に聴き易くなるんです。半田くんが魂をこめなおして再び現代に甦らせる、そんな感じ。だからこそ、歌謡曲世代ではない僕にも十分に楽しめるリサイタルになりえたんでしょう。編曲とは歌に命を吹き込む作業である。そうインプットされました。半田くんといえば、トークも欠かせません。やはりMCは上手いし面白いです。「KENT in person」の頃からそうなので、MCの半田くんは見慣れてますし、それが普通になってますが、冷静に考えたらなかなかに凄いことです。初期はトークと歌の配分が上手くいかずに時間がおしていましたが、徐々に要領を得て、後期は時間をほぼ完全にコントロールしてたように思います。素晴らしい上達ぶりで感心します。感心するといえば、いつも新しい試みにトライしようとするチャレンジ精神とサービス精神、そして"カルメン'77"の伴奏で"あずさ2号"を歌っちゃうような発想力…などなど、僕には無いものが多すぎます(笑)
  このシリーズのおかげで、僕は作詞家・作曲家・編曲家に注目するようになったし、"作家の個性"というものが分かりました。そして、歌謡曲は良いですね。もともと80年代の歌謡曲が自分のフィーリングにフィットする感じがしていて、歌謡曲を楽しめる素地を備えていたとはいえ、改めて歌謡曲の良さを実感できたように思います。そんな影響力大だった「歌謡見聞録」が終わってしまったのは非常に寂しいですが、音楽への情熱と愛情が溢れんばかりのステージを、きっと近いうちに披露してくれるだろうと、期待して待ちたいと思います。
  これにて、実録「歌謡見聞録」も完結となります。拙文ではありますが、お付き合いしていただきありがとうございました。少しでもリサイタルの臨場感が伝わっていれば幸いです。誤字脱字、誤っていることを発見したら、掲示板までお知らせください。放置しておくと恥かしいので。では、お粗末さまでした。(06.12.30up)


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